そして、今―─

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しかし、満たされた毎日を送る中で、ふと、冷静になると思うんだ。 彼女は限られた選択肢だから、気持ちを押し殺して、僕といてくれるのか。とか。 明日美しか愛せないと言った僕に同情してくれたのではないか?、とか。 同期という壁を壊し、はじめて踏み出した一歩はとても大きな幸せを得られたけれども。 同時に、彼女という存在を得られた僕は、少しだけ臆病にもなった。 そわそわしながら返事を待ってると、しだいに彼女の大きな瞳がまっすぐに僕を捉える。 「感謝してるに決まってるよ……。ありのままの私を受け入れてくれる人が、こんなに近くにいたんだって、気付けてよかったよ」 『努力しなくても…ありのままを受け入れてくれる人がいるんと思うけど』 彼女は以前、僕が元カレとの関係に悩む彼女にかけた言葉を用いて、そう答えてくれた。 ほんと、敵わない。
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