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よく周囲からはクールとか無表情とか言われるが、その仮面の下で、いつも彼女のことを熱く見つめる。
「あぁ、ほんとだ、ここちょっとおかしいね。自分じゃ気づかなかった」
しかし、そんな僕の思いには気づくこともなく、無垢な笑顔をこちらに向ける。
「ありがとう。富丘くん」
書類のミスだって、不備だって、彼女じゃなければ指摘しない。他のやつなんて、どうだっていいのだから。
そのままその周りに出ようとしたとき、彼女の顔色が、いつもよりも良くないように見えた。
心配になった僕は、気づけばすっと手を伸ばしていた。
「……あまり顔色が良くない」
そっと指の背で頬を撫でると、彼女の肩が跳ね上がる。
「そ、そう?……そんなことないと、思うけど……」
あぁ、可愛い。緊張してるのかな。目が右往左往している。
からかいたくなる気持ちを、ぐっとこらえる。
「あまり無理しないほうがいいよ」
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