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プロローグ
荘厳な廊下に掛けられた肖像画を前に、齢6、7の少年は隣に立つ女性に問いかけた。
「母上、この方は誰なのですか。」
女性は微笑し応える。
「この方は、連邦を支える円卓会の中で、最も偉大な調停者と語られています。」
少年はさらに問いかける。
「どんなことをされたのですか?」
「必要とあらば世界のありとあらゆる場所に赴き、戦争の調停を行い、政治闘争を治め、貧困にあえぐ民に生き方を教え、強大な悪を倒したと言われます。」
母親の説明を聞いた少年は興味津々に頷く。
「母上、もっとその話を詳しく聞きたいです!」
「そうですわねぇ。私も歴史で学んだ程度なので、そこまで詳しくはないのだけれど--」
「それなら私がお話ししましょうか?」
いつの間にか、彼女の横には理知的な雰囲気を伴った若い女性が立っていた。
「あら司書さん。それなら貴女に頼もうかしら。」
依頼を受けた司書は何処からともなく一冊の本を取り出した。
「これでも大学の専攻は連邦歴史学なので任せてください。」
司書が2人を近くのテーブルへ案内した。
「さて、あの肖像画の方がどのような功績を挙げ、今日の私達に偉業を残したのか。まずは、彼の生い立ちからお話ししましょうか。」
少年は、これから始まる冒険譚に胸を弾ませている。
司書は本を開いて朗読を始めた。
「これから始まる物語は、ある王国を支えた将軍の子供のお話です---」
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