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「あんたを味方に引き入れたのは単にお人好しだからではない。あんたに復讐したい人間が偶然にも俺と同じ会社にいただけの事だ」
「なにぃ? 」
語気を強めにして尋ねた時だ。
微かに女の笑い声が聞こえた。
笑い声の方へと目をやると、そこには秘書の皐月さんがクスクスと笑っていた。
「フフフッ、馬鹿な男ね。2、3年も顔を合わせてきたというのに全く気付かないなんてね」
皐月さんは不敵に笑みを零すと、眼鏡を外した。
そして化けの皮を剥がすかの様に顔のマスクをとった。
俺は愕然となった。
彼女の真の姿を目の当たりにしたのだ。
パッとしない眼鏡秘書、釜島皐月は……
「お久しぶりね。お父さん」
俺の娘だったのだ。
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