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娘は俺の眼をジッと見つめながら今までの過去を語り始めた。
「あんたに追い出された後、地獄だった。学校は辞めさせられ、母さんの間男に犯される毎日。その挙句に裏風俗に売られそうになった。それを食い止めようと母は間男に詰め寄ったけど強く突き放され、机の角に頭をぶつけたわ。幸いにも死にはしなかったけど植物人間と化して、今も目が覚めないわ」
「な、何だと!?」
俺は驚きを隠す事ができずにいた。
全く知らなかったからだ。
「どうしてもっと早くに知らせなかった!?」
「知らせなかったですって!?私達を避けてた癖によくもそんな事が言えるわね!」
娘は俺と同じ様に大声を発した。
「私は謝りたかった。許してはくれないと分かっていても謝りたかった。だけどあんたはそれを拒絶した。弁護士に連絡を入れても断られるばかり。その時悟ったのよ。あんたは私達を許してはくれないと」
娘の目からは涙が零れ落ちた。
そしてそれをすぐに手で拭った。
「だけど何度も弁護士事務所を訪れた時にあの弁護士の弱味を握る事ができた。依頼人の個人情報を金に変えていたのよ。それを口外しない代わりに真実をあんたに話さないこと。私と母さんはボロアパートで暮らしていると嘘をつく様にと命じた」
「ど、どうしてそんな嘘を……」
「だって真実を話したらあんたが喜ぶじゃないのよ。あんたの喜ぶ顔をもう見たくなかった。私が見たいのは絶望するあんたの顔。それだけが望みよ」
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