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その日、残業していた俺の所に突然、強盗が侵入した。
賊は金品に目をくれずに、ある物を一つだけ奪うと早々に去っていった。
俺の命だ。
賊は俺を見るなり躊躇う事無く、拳銃で身体を数発撃った。
目出し帽を被っていたがそこから見える眼でかつての旧友だと分かった。
俺は椅子から派手に倒れ、仰向けになってただ待っていた。
無様な死が来るのを……
身体は徐々に冷たくなり、血は滝のように流れるばかり……
裏切り者の末路はいつもそうだ。
長生きはできない。
この日が来るのは覚悟はしていた。
だが唯一、気がかりな事がある。
娘だ。
俺達は互いを裏切り、裏切られる関係だった。
そんな娘に最後のメッセージを送ってやりたい。
豊倉を出ていく時、言ってやりたかったが最後には意地が勝って言えなかった言葉だ。
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