第1章 別れ

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俺は興信所を雇い、不倫の証拠を手にした。 更に母娘の発言も録音し、着々と離婚の準備を進めた。 そして弁護士を家に招き入れ、妻に離婚を迫った。 当然、妻は泣いて謝った。 妻は専業主婦で俺の収入なしでは、やっていけないからだ。 しかも重ねて多額の慰謝料も請求するのだから、今後の生活はより一層厳しくなるのは明らかだった。 その時の妻の姿は惨めで滑稽だった。 泣きながら土下座し、許しを懇願するのだから…… だが娘は嫌々ながらに謝った。 毎日、母親から父親の悪口を聞かされて育ったのだろう。 父親を絶対悪とみなして俺を罵倒していた。 俺はそんな娘にも罰を与える事にした。 母親に洗脳されたとはいえ、今までの事を謝ろうとしない娘は娘じゃない。 俺は大学には行かせない、高校の学費も一切払わないと宣言した。 これには娘も妻も焦った。 娘は勉強が好きで成績が良かった。 これなら国立大も夢ではないと担任に太鼓判を押された程だ。 しかし、それは俺の収入があってこそ実現できた夢だ。 漸く娘は事の重大さに気が付き、本気で謝り始めた。 だがもう遅い。 俺は今後の事は弁護士を通せと言い、今日中に荷物を纏めて家から出てけと言った。 そして最後に妻と娘だった女達にこう付け加えた。 「おめでとう。これで間男と暮らしていけるな。フリーターの貧乏アパートに住んでいるけどな」
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