レナトゥスの星

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月あかりで風に靡く木々の影が部屋の中でゆらゆらと揺れている。 私はルイの腕枕でその光が作る天井の模様を見ながら呟いた。 「6年6ヶ月って何?」 ルイは私の髪を撫でながら、優しい声で語る様に教えてくれた。 「今から150年位前迄、この日本に義務教育ってあったんだって。最低9年間勉強しろ!ってね、春夏秋冬て季節に合わせた長い休みがあって、その休みの日数を9年から引いたら6年6ヶ月になる」 「だから?勤めを果たせたら帰っていいって事?」 「そう、でも今まで20年間毎月送り出され帰って来られる確率は1回に10人中1人か2人」 私を見てにこりと笑った。 「それは知ってるよ!ルイがその1人か2人になれるって保証ないじゃない!何呑気に笑ってるのよ!」 明日、ここを発つルイに向かって本気で怒った。 「大丈夫。必ず帰って来る。帰って来れた者は家族を連れてその星に住めるんだ。あと何年かで失くなる地球から出られる」
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