エクストリーム

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「DNAの一部がたまたま共有されてるだけに過ぎない……  設楽の死後、残された会はスピリチュアル系の業界でそれなりに影響力を持つようになっていて、後継者として目された俺は後継者候補として会の要人に引き取られたーー転校した本当の理由はそれだ。だが、会ったこともない生物学上の父親の能力も人徳も栄光も、彼にこだわる僕じゃなく、恵まれた家庭で無関係に育っていたはずの『部外者』が全て持って行ってしまっていた」  確かに血が繋がって、家族として認識してたから上手くいくってもんじゃない。それは僕も身をもってわかっているけど。 「それでもさ……考え直してくれないかな。僕が『世界なんか滅亡しろ、日本社会死ね』としか思ってなかった頃の僕に、唯一向き合ってくれたのが家入さんだった」  決して届かない距離から僕は、それでもランに手を伸ばした。 「今度は僕が、君に精一杯向き合う。力不足かもしれないけど、僕にやれることは全部やる。罪を償って、一緒に人生をやり直そう」  ランはにっこり笑ったーー僕がよく知っているランの、懐かしい微笑みだった。 「嫌だねーーシュン・ホウ」   呼ばれた宮村さんが躊躇いもなくフロートを盛大に揺らしながら助走をつけて華麗な跳躍を見せ、ランの側に飛び移った。オレンジの反射光の中で翻る黒い髪とコートが禍々しいほど美しかった。
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