エクストリーム

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 ぞっとすると同時に心底絶望したーーそりゃ、僕みたいな「ぼっちコミュ傷」体質の男が他人を説得できるとか何かを変えられるとか、本気で思ってた訳じゃないんだけどさ。  協力者の仕事だって何か崇高な志や使命感があって始めたわけじゃない。ややこしいことは家入さんなり捜査室の人達に任せて、それこそ転職の心配でもしてればよかったんだ……今さらだけど。  けど、だって……何かをせずにはいられなかったんだよう…… 「渡瀬!」  聞き覚えのある声が初めて、切迫感を持って叫んでいたーー 「両耳を塞いでフロートにしがみつけ!」 「家入さん?」  ゴンドラの行く先、巨大観測器の出入り口から彼が銃を構えていたーー指示に従うにはとりあえず手が足りないが、聞き返せる状況じゃない。  ゴンドラが止まり、ランの狼狽える声が聞こえた。 「あんた、一体どうやってあの部屋から出……」 「イー・ツェイ、いや、麓藍。今すぐ注水を止めて渡瀬君を返せ」  宮村さんが無言で発砲し、家入さんがコンマ一秒早く反応した。ランも僕も撃たれて水中に落ちてゆく彼女の名を叫んだはずだが、凄まじい破裂音と打鐘音の入り混じった重量級の轟音にかき消され、激しい波に飲み込まれたーーこれらのことが一秒足らずの間に起きた。
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