ハジマリ

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 日が落ちると自然の多いその場所は秒で闇に沈んだ。広場の頼りない街灯と、時折忘れた頃に通りかかる車のヘッドライトに照らされながら、波音しか聞こえない暗がりの向こうに遠く点滅する人工的な光を家入さんは再び指した。 「あの島の現状はさっき言った通りです。今回の企てに何らかの重要な役割を果たしているとは思えないのですが……出張の日程を延ばして、明日あたり行ってみますか?」 「いいんですか?」  僕が驚いて聞き返すと、家入さんは微かに口元を緩めた。 「小堀社長のたっての希望もあったし、君はあのままミンリンカンリで社員として働き続けることもできたのにーー少なくともうちよりは超絶ホワイトの優良企業ですからねーー君は敢えてAI捜査室で、私の元で働くことを選んでくれた。知りたいからなんでしょう?ーー麓君のことが」 ーーやっぱり、見抜かれていたか。 「すみません……そんな理由で」 「うちは歓迎ですよ。どんな理由でも、強いモチベーションが必要な仕事ですから」  もっとも僕の担当はあくまでシステム・セキュリティであって事件捜査ではないのだが、これからちょくちょくこの人に巻き込まれそうな気はしている。  
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