死が二人を別つまで

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 春真っ盛りの庭は、瑞々しい若葉が茂り、色とりどりの花が咲き誇っている。つる草が巻き付いた緑のガーデニングアーチをくぐり抜けた先――。  水色のネモフィラが辺り一面に咲き乱れ、花の絨毯の上をひらひらと蝶が舞う。  美しい光景に、私は息を呑んだ。 「綺麗……」  花畑に足を踏み入れると、まるで青空か海の中にいるみたい。幻想的で、なんてロマンチックなんだろう。 「王宮にこんな所があったなんて……」 「最初にプロポーズしたときから、この日のために準備していたんだ。ネモフィラは俺たちの思い出の花だろう。新たな門出にふさわしいと思った。気に入ってくれたか?」   「ええ、とても。すごく綺麗。ありがとう、シリウス」  にっこりほほ笑むと、シリウスもつられたように微笑を浮かべる。そして、少し緊張した面もちで、その場に片膝をついた。
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