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慌ててやってきたソニアとともに私が馬車に乗るのを見届けて、シリウスは颯爽と去って行った。
(ちょっと怖いけれど、悪い人じゃないのかも)
ダニエルからの報復を警戒して巡回を増やしてくれたり、わざわざ玄関まで送り届けてくれたり、怖そうにみえて、意外と優しい一面があるのかもしれない。
(とにかく、今日は、疲れた……)
目をつぶると、まぶたの裏に幸せそうなミーティアの笑顔が浮かぶ。
(シナリオ通り、ミーティアはメイナード殿下と結ばれ、今日の夜会で婚約発表した。ということは、やっぱりここは【黒薔薇姫】の世界……)
とすれば、このあとに起こるイベントは、シリウス殿下の謀反と処刑――。
悪役王子という役割を与えられ、遠くない将来、断罪される第二王子シリウス。
悪役令嬢エスターと同じくシナリオの被害者ともいえる彼を、私はひっそりと哀れんだ。
◇
それから数日後、ソニアがシリウスの情報を仕入れてきた。さっそく自室に呼び、報告を受ける。
開口一番、ソニアがこう言った。
「シリウス殿下は王宮で、こう呼ばれているそうです――『不要の王子』と」
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