不要のスペア

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 それでもやはり正妃の子であるメイナードの影響力は強く、シリウスは劣勢に立たされている。 「陛下がご病気で療養している隙に、メイナード殿下はシリウス殿下を亡き者にしたいようです。わざと騎士団大隊長の身分を与え、頻繁に紛争地域への出撃命令を下しているとか」 「王位を争っているとはいえ、弟を戦地へ送り出すなんて……」  兄弟なのに酷い、と言いかけて、私は口をつぐんだ。    兄弟だからこそ、憎しみが強まるのかもしれない。  ……ミーティアが私を殺そうとしたように。 「ごめんなさい、話を続けて」 「はい。病を抱えていたメイナード殿下は、聖女様の力で健康を取り戻し、派閥は勢いを増しております。中には『不要のスペアは始末してしまえ』と言う貴族もいるとか」  耳を塞ぎたくなるような酷い話。   (シリウス殿下は、生き残るために謀反を起こすのかも……)    彼の悲惨な境遇に、胸が苦しくなる。  利用価値があるうちは良いが邪魔者になった途端、容赦なく捨てられる。    それがどれほど辛いことか、私は良く知っていた。
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