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「王宮の者に話を聞いたところ、兄弟仲はかなり悪いようです。とくに、メイナード殿下の弟嫌いは相当なものだとか」
「メイナード殿下がシリウス殿下を嫌っているの? 普通、逆じゃないかしら」
「どうやらメイナード殿下は、弟君に嫉妬しているようです。シリウス殿下は、国民から大層人気がありますからね」
第一王子のメイナードは、王宮にひきこもって毎夜『聖女』とともにパーティ三昧。
片や第二王子のシリウスは、自ら兵を率いて国を守り、定期的に孤児院や街を訪れて民の声に耳を傾けている。
民が『シリウス殿下が王様になってくれたらなぁ』と嘆くのも当然だ。
「噂によると、シリウス殿下はよくお忍びで街に出るそうです。最近は 王族に反感を持つ国民も多いですから、過激な者達と接触している可能性も十分ありえます」
「王室に反旗を翻す可能性がある、ということ?」
「シリウス殿下はとても用心深く、証拠は掴めておりませんが……。きっかけがあれば、王位の簒奪は十分ありえるかと。下町に、革命家の集会場になっている酒場があるそうです。試しに探ってみますか?」
「いいえ、これ以上はソニアを危険にさらしてしまうわ。もう十分よ、ありがとう」
私の返答に、ソニアは表情を緩めた。
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