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星座が見える。
お前の星座はあれだよ。
姉が教えてくれた三角。
長い尾が伸びる。
地平線近くの1等星と繋がってる。
カイト。
凧は風の力で空を飛べるんだ。
風?
風なんて。
この星には吹かないじゃないか。
班長は。
高い位置で。
クルクルと向きを変えて。
飛び回りながらゴミを撃つ。
その下で。
次々に降ってくるゴミの欠片を。
拾いに走る。
ひとつ飲み込む時には。
次のふたつを見ている。
向きを変えて。
上昇しながらさらにいくつも拾う。
舵を握る手の感覚がない。
考えるより先に動いている。
頭じゃなく身体が飛んでいる。
目に映るゴミに。
自分が吸い寄せられるように。
拾って。
拾って。
その視界に。
班長が入る。
今日は。
“当たり”だって。
結局。
ゴミが止んだのは惑星が空高く昇る頃だった。
もう。
次の班の勤務時間だ。
副班長は先に引き継ぎをしに行っている。
班員はそれぞれ鉄の鳥の腹を開けて。
ゴミを仕分けている。
カイは。
なんとなくその手が進まなかった。
「班長」
戻ってきた班長は。
全身黒い液体に塗れていた。
「今日は“当たり”だったわ」
笑って。
ひとり。
先に行ってしまった。
ゴミを仕分ける手が進まない。
班長が撃った。
あの異臭のするゴミが。
この中にあるのだ。
「お疲れ」
同期のシロが声をかけてきた。
シロの班はこれから勤務だ。
「お疲れ」
カイトの手が進まないのを。
隣で見ながら。
「お前、
いつまでこの仕事続ける?」
シロが聞いてきた。
「いつまでって」
訓練生の時からの仲。
一緒の班だったこともある。
「いずれは、
ブルームに、
乗るつもりなのか?」
シロの言う意味が分かった。
「そうだけど」
「そっか…」
「シロは違うのか?」
「…」
はっきりしたことは答えなかった。
ブルームは高い技術が必要だし。
責任も重い。
だからやりたいって思うんだ。
ゴミの液体を頭から被った班長の姿を。
思い出して。
首を振った。
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