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なぜシロがブルームをやるのか。
自分の方が適任だ。
これ以上汚れても。
誰も悲しまない。
「カイ、
目の下クマひどいよ?」
訓練室に副班長がきた。
ブルームの訓練を始めて数ヶ月。
通常業務の合間にするので。
疲れているが。
その方がいい。
余計なことを考えずに済む。
「副班長、
今日の訓練は」
「…今日はちょっと、
休憩しようか」
顔を見て苦笑いされてしまった。
「でも」
「たまには休まないと。
身体壊すよ」
促されて。
ベンチに座る。
「分かってると思うけど、
ブルームをやるってことは、
次の主力、
班長候補なんだからね。
自分の体調管理くらい出来なきゃだめ」
「はい…」
ここ最近の寝不足と。
仕事の荒さのことを言われているのだろう。
「カイ、
本当にブルームをやるの?」
「え?」
「別に、
今からだって、
辞めてもいいんだよ?」
「それは、
シロがいるから…」
「そうじゃない。
一度決めたら、
逃げられないわけじゃないんだからね」
そんなことは分かってる。
本当に思ってないだけだ。
「私、
ブルームをやるって時になって、
一度逃げたの」
「逃げた?」
「私が出戻りなのは知ってるでしょ」
「はい」
一度事務方に転向した。
その時に飛ぶのは引退したと思っていたが。
「どうして、
また乗ろうと思ったんですか?」
「班長が、
もう飛ばないって言うから」
「え?」
「でも、
私が飛べば、
あいつも飛ぶって、
分かってたからね。
焚き付け役みたいなもんよ」
「それで、
一度逃げたブルームに、
乗れるものなんですか?」
「うん。
自分のためには無理でも、
あいつのためになら、
引き金を引けた」
ざわりと。
鳥肌が立った。
「カイにも知ってほしい。
誰かのために生きるってことを」
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