思い出は・・・

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思い出は・・・

 2002年と2012年の時も、私たちはそこで再会した。  2回とも、K子は子どもを置いて一人でやって来た。上の子のことはその度に私の心を過ったが、やはりなにも訊ねられなかった。  2022年の8月30日まで半年程あるけど、二年程前に彼女から、 「やっかいな病気になっちゃったので行けないかも・・・」 という電話をもらった。  そして去年の晩秋・・・。  コロナの影響で遊覧船はなくなってしまったようだけど、感染が下火になって行ったのを受けて、また復活したようだ。 「そうでなくちゃ」 と思わずヤフーニュースでその記事を読んだ折りには手を打っていた。やがて巡って来るその日。あたりまえのように、あの桟橋でK子を待っていよう。  降りつもる落葉のような想いに溢れてしまうかもしれないけれど、大瀧詠一の『ア・ロング・バケイション』のCDを車の中で聞きながら、K子を待つ、というシチュエーションの時間をひとりで過ごそう。  なんだかチンケな舞台演劇のラストシーンのようでもあるけど・・・。  思い出はモノクロームだ。  色を付けてもモノクロームなのだ。
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