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「おめでとう」
いきなり俺は前にいる男に言われた。
「はい?」
俺はそう返事をするしかなかった。なぜなら先ほどまで俺は散歩をしていたらいつの間にか変な部屋におり目の前の男がいきなり「おめでとう」と言ってきたら何が何だかわからないだろう。
「いきなり何を言っているのかという顔だね」
「そりゃそうだろ」
男の言葉に返す。当然だろう誘拐されたわけでもなく自分でここまで来た記憶もないのに。
「あれ?」
ふと俺は頭を抱えた。
「どういうことだ?」
段々と混乱し始めた。
「ようやく気付いたみたいだね」
「ど、どういうことだよ!?お、俺に何をしたんだ!」
俺は男の胸倉を掴んだ。
「だから言っただろう?おめでとう、と」
「どこがおめでとうなんだよ!前のことが何も思い出せないのに!?」
そう俺は過去のことが思い出せなくなっていた。かろうじて歩いていた記憶が残っているぐらいだ。
「落ち着つくといい。これは君が望んだことなのだから」
男は俺に胸倉を掴まれながらも平然と答えた。
「お、俺が?」
俺はその衝撃に力が抜けていき床に座り込んだ。
「私たちは記憶を消すというキャンペーンをある対象者たちに送った」
「たち?俺以外にも記憶を消した人がいるのか!?」
男の言葉に俺は驚いた。
「ええ、います」
男は平然と答えた。
「他にも。対象者っていうのは?」
俺は混乱しながらも気になることを聞く。
「対象者は借金を抱えすぎてどうにもならなくなった人たちです。無論あなたも沢山の借金を抱えてどうにもならなくなったので私たちが借金を返す代わりにあなたたちの記憶を消したのです」
男の言葉に俺は返す言葉が見つからなかった。
「さて、これで最後です。あなたは記憶を失っただけかと思われていますがあなたの顔も作り直しました」
「は?」
ただでさえ気持ちが整理できてないというのに更なる爆弾を男は落とした。
「これで、あなたは新しい人生を歩めます」
「な!」
俺は驚いているが声を上げるが急に眠気に襲われ横たわり意識が遠のいていくその直前に男の最後の言葉が聞こえた
「君の新しい名前は新野・・・・・栄人だ。新しい人生を送るといい」
男に新しい名前が告げられたそれと同時に限界がきて俺は眠りに落ちた。
ここから俺の新しい人生が始まる。
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