定食

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 良かったね、ってどの口が言う……ってか、俺の唐揚げ……  どれをどう責めるか迷ううちに、木暮はマイペースに食べながら話し始めた。 「友だち作るの、難しいと思ったんだよね。定義があいまいなのに相手もある話だし。手っ取り早いのは部活かなって思って、踊るの好きだからダンス部にしたんだ。そしたら髪も分厚い眼鏡も邪魔だから顔をさらすことにもなって」 「は、ダンス? なんだお前、軟弱系か」 「やっぱ、おじさんだよねえ、そういうとこ。すごい学校はガチ体育会だよ。何十人もが一糸乱れず、油断すると大けがしたりね。って、でもまあ実際ほんとに幸い、うち自体は超~ゆるゆる。だからこんな時期にも入れたし、練習も出たり出なかったり」 「で、女と遊んだり、と」 「そうそう。女の子のほうが多い部で、フリーの子も多いから。後から誰かの彼女ってわかるのは面倒でしょ」  学校で会った木暮とも、新宿で会った木暮とも違う。まともな会話も出来ないやつかと思っていたのに、よくしゃべる。  何しに来たんだ、こいつ。ともかく、しばらくはしゃべらせてみよう。
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