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まあ、話すのは俺だろうな。まずは軽く学校ネタからだ。
「君さあ、なんで昼飯も食わないでひとりで寝てんの」
木暮は岡田に目を向けた。一気に心の奥まで刺されるような、居心地の悪さを感じる怜悧な視線。
「……四限から行ったから」
「あんなんじゃ、友だち出来ないだろうよ」
「……欲しそうに、見えた?」
話すごとに木暮の視線のリーチが延びて岡田の内面を侵してくる。悔しいが耐えきれずに目を逸らし、軽く息をついて立て直した。
それにしても、俺なんかには完全無視を決め込むかと思ったが、意外に普通に返事はしてくるな。もう、このまま本題に行こう。
「平沢にさ、なんで会わなくなったの」
今度は木暮は黙り込んでしまった。そのまま視線を平沢に戻し、全身をじっくり、舐めまわすように眺める。それだけで平沢は息を少し荒くした。
「裕ちゃん、やせたねえ。……腕もずいぶん、細くなったみたい。見せて?」
そう言ってゆっくりと左手を差し出した。
平沢が向かいからおずおずと手を伸ばすと、指をからめながら握り、手のひらを上にする。今度は右手で平沢のシャツの手首のボタンをするりとはずし、そのまま指を滑り込ませた。
ふっ、と、平沢が小さく息を吐く。手首の奥くらいまでしか届いていないはずの木暮の指がゆるゆると動くのを、平沢は身を震わせて耐えているようだ。
思わず身を引き、大丈夫か、と声をかけようとして横を向いた岡田の目に、平沢の張りつめた股間が映った。
……感じちまうのか。これだけで、そんなにも?
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