出会い

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「首尾は、上々。週二であんなことしてたのに、突然ひと月も触れなくなったら、まあ、こうなっちゃうよね。……ねえ、裕ちゃん」  木暮の声が、急に、気味の悪いほど優しくなった。 「裕ちゃん見てたらさ、欲しくなっちゃった。久しぶりに、行こうよ、ホテル」  撫でていた手をゆっくりとシャツから抜き、今度は平沢の手ごと引き寄せて口を這わせる。 「ぁ…… っ、うはぁ」 唇を割って現れたなまめかしい舌が指の股に沿って動くたびに、平沢の口からあられもない声が出た。 「すごく、気持ちよくしてあげる。前よりもっと良くしてあげるよ」  そのまま小指をまるごと口に含んだ。付け根まで咥えこんだ口もとが卑猥に動き、中でのたうつ舌が指を存分になぶっているのがよくわかる。  岡田はあまりの状況に言葉がなかった。いや、もっと正直になるならば、目の前に広がる淫靡すぎる空気に当てられて、自分の股間に熱さを感じてすらいた。かろうじて、おい、ヒラサワ、と弱々しい声をひねり出したのは理性の最後のひとかけらだ。  しかしそんな声は、もはや平沢の耳には届かない。殺してやるとまで言われたのに、平沢には誘惑にあらがう力は皆無だった。指をしゃぶられ、快楽でうなずくことすら出来ないだけで、情けなく涙を浮かべた嬉しそうな表情がすべてを物語っていた。 「……なーんて、ねっ」  木暮はいきなり、きっぱりと張りのある声で言い、平沢の手をポイっと放り投げた。バン、と音を立てて骨ばった手がテーブルに落ちる。我に返った岡田が平沢を見ると、彼は痛さを感じる余裕もないらしく、息を止めて木暮を見つめていた。
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