ぼくたちの過程

出会い

「ほら～、バカでしょ。頭冷やしてあげて。岡田さん、これはさあ、首突っ込んできた人の義務だからね。裕ちゃんが死んだら、岡田さんのせいだから」

　捨て台詞のように言うと、木暮はまずそうにコーヒーを飲み干し立ち上がった。
　出て行こうとする木暮に、岡田は思わず声をかけた。
「高校生活、一度きりだぞ」
　木暮が不審な顔つきでゆっくりと振り向く。

「何やってんだよ、お前。大人の男と遊ぶとか、泣かす、とか。やるなとは言わない。でもそんなん、後でもいくらだって出来るんだよ。学生って枠で守られてる今しか出来ない高校生活、もっとまともにやれよ。きちんと顔さらして友だち作って、寝たいならおんなじ高校生の男とでも女とでも寝てろ。人生の中の今の立ち位置、一度止まって考えてみろよ」

　木暮は、いきなり場違いな大人ぶった説教をぶち上げた岡田をじいっと見つめた。
　岡田は耳の先を赤くした。……色気にかまけて、大人をなめくさったガキだ。俺の声に振り向いただけ上等だ。どうせバカにして鼻で笑って出ていくに違いない。こんな青臭いこと、正直、言ってて俺も恥ずかしい。