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「だって、連絡先わかんないんだもん。二人の会社ってどんな感じか興味もあったし。裕ちゃんも通るなら会わないように外で待とうと思ったけど、外、寒いの。ひなこさんたちに聞いたら、裕ちゃんはずっとお休み中だって言うからさ」
平沢に気を遣うのか、こいつが? 怪しいやつめ。
岡田は、ふう、と息をついた。
「で、何の用だ」
木暮がにっこりと笑う。
「ねえ、隆ちゃん。ご飯、おごって!」
「…………なんで」
「……甥っ子、だから?」
「甥じゃねえ!」
俺がお前にメシをおごる理由は一ミリもない。よって迷わず、もとから行こうと思っていた激安居酒屋へ行く。すぐそこ、安定のヨッパライすし詰めおやじ臭だぞ、と歩きながら告げれば、
「ふーん。独り身なんだ。毎日近場の安めで済ませるって寂し」
と平然と言う。むかついて黙っていたら、木暮は勝手に話し始めた。
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