133人が本棚に入れています
本棚に追加
「二次元って言い方は本当に知らなかったから、面白かっただけだよ。隆ちゃんが言ったことをやってみるのは、真面目にアドバイスしてくれてるなと思ったから。だから、隆ちゃん自身に、『何の意味がある』なんて言われたら悲しいな」
「なんだそりゃ。素直かよ。フツーあり得ないほどの素直なことをお前がやるとか、さらにあり得ないだろ」
「ほらまたフツーって言う。……人間ってさ。完全じゃないから必ず足りないものってあるでしょ。足りないものには、自分自身で見えてるものと、見えてないものがある」
木暮は心なしか真顔になっていた。
「僕に見えてる足りないものはね、お説教してくれる人。フツーを教えてくれる人。まあ、最近は隆ちゃんのおかげで同級生とも話すようにはなったけどね」
「お前なあ。中学までは何してたんだよ」
「大人とセックス」
平然と言ってのけ、溶けかけたアイスを舌で迎えながらいやらしく食べる。わざとだな。
「……」
「ふふ、冗談だよ。噓じゃないけど、それだけで生きてたわけじゃない。僕、やりたいことがいろいろあってさ。一日の時間が足りないの、昔から。だからあんまり他の人と話したいと思わなかった」
「やりたいこと。例えば?」
「また今度教えてあげるよ」
「また会うのかよ」
「だって今日、もう、ご飯食べ終わっちゃったし」
最初のコメントを投稿しよう!