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「ちょっと待て、狂ってるなんて。お前はフツーのやつさ。ゲイだってフツーだろ。相手が男ってだけでさ。……会ってもらえないってのは、別れたのか。ケンカじゃないのか。きちんと話をしたのかよ」
絡みまくっている平沢の心をほどくには、どんな相手なのかを吐き出させる必要がある、と岡田は思った。女でも男でも、たとえ遊びだろうと、継続的な関係を持ったならばケリはつけるべきだろう。
「どんな奴だよ。このままじゃお前ダメになるの、わかってるだろ。お前が面と向かって話せないなら、俺が行って聞いてきてもいい。相手が言った通りにお前に伝えてやるよ」
そんなことをしても相手を怒らせるだけだ、と身体を丸めて泣き出す平沢をなだめすかし、別れてもいい、ヨリを戻してもいい、俺は何でもする、と言い聞かせてなんとか相手のことを聞き出した。
そして、その相手がまだ高校生だ、と聞いた時の驚き。危うく口に出さずに飲み込んだ、お前まさかの犯罪か、というツッコミ。そして、平沢をこんな風にしてしまう高校生、しかも男っていったいどんなやつなんだ、と湧いて来てしまう不謹慎な好奇心。
「……高校生の坊主か。よし、わかった。来週早々に行って話をつけてきてやる。まあ、待ってろよ」
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