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「いや、なんか、いつも寝てるし。音楽の授業一緒だけど、いないこともあるし。とにかく変な眼鏡かけてて髪が長くてぼさぼさの、デカいやつ探せばいいです。……あ、頭はめっちゃいい、って噂」
「めっちゃ、いいんだ?」
「だから先生も、寝ててもあんま厳しいこと言わないんだと思います。まあこの学校だからだろうけど」
よくしゃべるいい子だし、もう少し情報収集したい気もするが、昼休みは長くはない。ありがとう、と言って別れてⅭ組を目指す。
教室に着くとクラスの三分の一ほどが中で昼飯を食べていた。二、三人のグループもあれば、ひとりの子もいる。しかしお目当てはやっぱりここにはいないか……と視線をめぐらすと、一番廊下側の中段、戸口から見えづらい位置の机で長髪を乱した男子が突っ伏して寝ているのが見えた。
かなり身体がデカそうだ。つまりデカくて、長髪で、ボサボサで、寝てる。あれに違いない。
岡田は散漫な室内の雰囲気を壊さないようにするりと教室に入り込み、端を通ってその机までたどり着いた。寝ている背中を、ちょんちょん、とつつく。
その男子は上半身を机に載せ、長い両腕をだらりと前に垂らしたまま、ゆっくりと顔を上げた。いよいよ、ご対面だ。
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