サウダージ

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 そこで動画は終わっていた。あっという間の2分30秒だった。私は鼻を啜ると、マスクを下ろして中に侵入してきた涙を拭う。夫がそっとティッシュを渡すと、私はそれを受け取って鼻をかんだ。  結婚おめでとう  祖母の幸せそうな声が脳内で何度も再生されていた。 「お祖母ちゃん……」  私がその場に崩れ落ちると、夫が私の背中を優しく撫でてくれた。無言で私の背中をゆっくり撫でてくれる。  祖母からのビデオメッセージ。それは結婚式で流れるビデオメッセージだった。  私は唇を震わせながら、祖母のスマホをぎゅっと抱きしめる。もう祖母には会えない。それを痛感した。お葬式の時も、火葬の時も、実感はあった。祖母が亡くなったという実感は。でもそれでもやっぱりまだ信じられていない自分がいて、どこか夢見心地だった。でも今、痛感した。祖母はもういない。あの世へ逝ってしまったんだと。 「ありがとう……」  震える声でそう言うと、私はギュッと夫の服を掴む。夫はもう片方の手で、私が服を掴んだ手を握ると、また涙が溢れてきた。  ──どうか、天国から見守っていてください、お祖母ちゃん。  心の中で呟くと、涙を拭って立ち上がった。一緒に屈んでくれていた夫も立ち上がる。 「行こう」  私は笑顔で言うと、祖母のスマホをギュッと握りながら夫に言う。夫は静かに頷くと微笑を浮かべて、私たちはリビングに戻った。
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