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従弟妹が言うと、それぞれの親がやって来て写真を見た。皆が「懐かしいー」と声を揃えながら笑っている。
「お祖父ちゃん、写真飾ってたんだね」
「うん」
祖父がそう言うと、私たちは祖父の部屋から出てリビングにまた戻った。
「あ、そうだ佳穂。佳穂に渡したいものがある」
「何?」
そう言って祖父は立ち上がると、手招きした。
「真仁君も」
「あ、はい」
夫も立ち上がると、二人で祖父の後ろを歩きながら祖母の部屋に入った。冷たい室内の奥には祖母が寝ていたベッドがあり、そこには充電されっぱなしの祖母のスマホが置いてある。
「あいつが前に撮ってたんだ。本当は二人の結婚式で見せるのが一番だと思ったんだけど、こうなった以上、二人には今見せた方が良いかなって」
祖父が私たちに携帯を渡すと、そこには一つの動画が画面いっぱいに広がっていた。中心には車いすに乗った祖母が映っている。祖父が私たちを置いてリビングに戻ると、私たちは動画の再生ボタンを押した。
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