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うちの神社には、死神が居る。
「この神社、潰れるんじゃね?」
「勝手に潰さないで」
「いやだってさぁ、三賀日を過ぎてるって言っても、これは酷いよ。誰もいないじゃん。せっかく葉羅ちゃんがかわいー巫女ちゃんになってんのになぁ。まぁ……、独り占めできるからいいけど」
「……真剣に見ないで」
「じゃあ、こっそり見るわ」
「ちがーうっ!」
隣にいる男はきらきらした顔で頬杖をつき、意地悪そうに笑っている。ゆるくカーブを描く前髪、はっきりとした二重の瞳。凛とした雰囲気で端正な顔立ちは、ふざけていても様になる。20代前半、男性の良いところを凝縮した顔の造りだよ、と自画自賛している外見は、あながち間違ってはいない。
ついつい見惚れそうになって、首を振る。
イケメンには、もう騙されない。
「ってー、そんなに熱く見られたら、照れるぅー。でも……、イケメンは目の保養っしょ?」
「……見てない」
「いーや、見てた」
「もぉーっ! 見てないって」
「……ってか、顔で男を判断すんなよ? また騙されるぞ」
「傷をつつかないでよぉ……、それに、アンタには騙されないんだから」
「……そっか、残念。でも、しゃーねぇよな」
愉快そうに笑い、隣のイケメンは探るように私を見た。
「……見えてる、もんな?」
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