トナリの死神くん

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 うん。  ……そうだね、イケメン以上に放っておけないもの。  それは黒々とした影で、翼のようにのびている。もやもやとしていて空気との境目はない。曖昧だけれど、禍々しい圧。これは中身が漏れ出た影で、の間では死神の翼と呼ばれている。ごくりと喉を鳴らし、恐怖を呑み込む。 「おーい、イケメンすぎて見惚れちゃった?」 「残念すぎて、凝視してます……」 「いやーん、穴が開いちゃうぜ」  悪戯っぽく笑い、首を傾げる。 「葉羅ちゃんがおれを当てたんだからな〜。願い事を叶えるために頑張るから、なんとか一緒に居ることに慣れてよ。それにおれは普通の人間として慎ましく暮らしたいと思ってるんだけどなぁ。……どう、需要ある、かな?」  さっきの意地悪そうな表情とは打って変わり、伺うような上目遣い。照れたように耳が赤くなっているのも、すぐ目を逸らしたのも、ヤツの作戦の延長かもしれない。  ふざけた後、ちょっと照れるのはずるいな。  伏し目がちの瞳がふいに向けられ、心がきゅっとなった。 「仲良くできれば、うれしーんだけど?」  いや、騙されるな、私。  死神と仲良くなんて、お断り。
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