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「あ、ていうか流伊。貴方そんなことよりも、もうとっくにafternoon teaの準備出来てるんだから、早く芽衣子ちゃんに頂いてもらいなさいよ」
――え……!?
その言葉を聞いて、芽衣子はまたも驚き瞳を大きく見開く。脳内変換が追い付かないわけではない。今度はその逆だ。
――アフタヌーンティー……!
瞬時に"午後の紅茶"という和訳が脳裏に浮かび上がり、同時に胸の鼓動も一段と高鳴る。
気持ちの高揚を抑えきれず、目に見えてそわそわとし始める芽衣子を、流伊が苦笑混じりにソファーへと誘う。
ふわりとそこに腰掛けても、まだどこか夢見心地のままテーブル上のケーキスタンドを見つめていると、彼はそっとその訳を教えてくれた。
「以前、君が英国文化に興味があると言っていたのを思い出して、それならば、誕生日にアフタヌーンティーはどうだろうかと……。運良く姉が働いているので、この店に協力してもらったんだ」
その言葉を聞いて、芽衣子は心の奥底までもぽかぽかと暖かに包まれるのを感じた。
そして改めて流伊の方へ向き直り、ふわりと微笑みかけた。
「ありがとうございます。覚えていてくださって……とても嬉しいです」
大きく見開かれた美しいその緑に、もう一度瞳を細めると、今度は杏璃へと姿勢を正す。
「お義姉さんも私のために、ありがとうございます」
「とんでもないわ!改めてお誕生日おめでとう、芽衣子ちゃん。もう本当に、こんな流伊がfwianseだなんて勿体な……」
そこまで言いかけたところで、はたと彼女のお喋りが止んだ。
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