痛み分けの女子会

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 ライアは、腰かけていた寝台に倒れて突っ伏した。  涙目になっているセリスを見ているのが忍びなかったのもあるし、心の中でつっこみが追いつかなかったせいでもある。 (アルザイ様は一緒に寝て、そんなこともしていないの!?) (アーネストだって、旅の間に手を出せなかったみたいで、セリスに対してあんなに苦しんでいたのに!!) (あの男は無理やりした!? 既遂!?)  変な笑いがこみあげてきて、頬がひきつれて痛い。 「ライア様……?」  恐る恐るという様子で声をかけられて、ライアは気合で起き上がり、姿勢を正した。 「よく、わかりました。あなたにとって、『男性』はラムウィンドスだけなのね?」 「そんな、僕がもう()()()()()()()()()()ような言い方はやめてください!! 顔合わせないようにしているし、近づかないようにきちんと言いましたし……!!」  セリスは何やら必死に言い募っているのだが。 (言ってはいたけど……でも、あの男も真に受けていたかどうか)  力いっぱいセリスがラムウィンドスを「野蛮人」と罵って振り切ろうとしていた場面をしみじみと回想して、ライアは力なく笑った。   「薄々わかっていたつもりだけど。アルザイ様もアーネストも、そこまでセリスの眼中になかったなんて……。不憫だわ、他人事ながら」 「不憫とは……?」  ライアは、しげしげと、セリスを見る。  掛け値なしのうつくしさだ。 (アルザイ様が女を着飾らせるとき何を考えていると思うの? セリスのこの姿を見て、どう思ったことか)  黙ってしまったライアに対し、セリスは手を変えることにしたようだった。 「それで、ライア様は昨日、何をしてアーネストをそんなに怒らせたのですか?」 「……そういえばそんな話、私あなたにしてしまったわね」  この動揺できれいに忘れていてくれたら、と思ったがそうはいかなかったらしい。  実際は何もなかったのが、「抱いて」と言って怒らせました、という事情。さてどこまでセリスに話すべきかとライアが思案したそのとき、ドアをコツコツと叩く音がした。  二人で話をやめて、そちらに視線を向ける。 「姫君たち。少しお邪魔するよ」  気安い口調で二人の素性をすらりと言いながら、その人物はドアを軽やかに開けてきた。
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