おめでとうを君へ

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成人式が終わり、黒スーツの男4人でプリクラを撮った。高校の卒業式となるべく同じフォーメーションで、同じポーズで。 うち1人の髪色と、別の1人の体型と、さらに別の1人の身長以外は、変わったところが分からない。それくらい、プリクラ機から出てきた俺たちは、あの時のままのガキだった。 「同窓会って何時からだっけ?」 坊主だった髪を伸ばし、金髪となった正也が、誰にと言うわけでもなく聞いた。 「8時から。場所はあのお化けビルの後にできたホテルだったはず」 司は胸ポケットの中から、くしゃくしゃの案内を出し確認した。女子に人気だったぽっちゃりと出た腹は、今は平らになって隠れている。 「お化けビルかぁ、懐かしいな」 自分で言いながら、当時の思い出と共にニヤけが込み上げてくる。しかし誰も「何ニヤけてんだよ」とは言わない。皆がニヤけているからだ。 「あれからもう3年かぁ。俺たちクソガキだったな」 この4人組でチビ担当だった英紀は、今では2番目に背が高い。俺の少し上にある目線は、さらにその上を眺めていた。 皆、同じことを思い出している。17歳の夏休みの夜のことだ。 心霊現象の噂の絶えない廃墟ビルに、肝試しに行った時のことだ。結果としては、大したことは起こらなかった。偶然同じタイミングで肝試しに来たカップルの女性が、突然泣き出したくらいだ。その様子を見てビビった英紀が、これ以上行くのはやめようとベソをかいた。それがつい数ヶ月前の夏のように鮮明になる。 「お前ほんとデカくなったよな」 「うるせぇ」 「大学入ってから伸びるやつ、なかなかいないぜ?」 「うるせぇ」 「そういえばお前、高1までアルト歌えてたよな」 「うるせぇ」 一緒に笑った。それぞれ違う道に進みはじめてしばらく経ったからか、それはまるで花火だった。
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