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「ワ、タル……」
掠れた震え声。あいつのこんな声……今まで聞いたことがない。俺の口から呻き声が上がった。嗜虐心と情欲が、心のどこかから湧きたってくる。いじめてやりたい。このまま俺の手で堕としてやりたい。1番深く欲する部分を握りしめて、この男の全てを支配してやりたい。そんな感覚が嵐のように湧きあがる。
次の一手を打とうと身を屈めると、急に体を引き寄せられ、抱きつかれた。互いの荒い息遣いが絡み合う。あいつの牙が俺の肩に刺さって、今度は痛みで呻いた。舌先が首筋をなぞり、全身がびくりと震える。
あぁ、くそっ。やられっぱなしじゃいねぇってことか?
はっ、と笑うと、それに応えるようにあいつの肩口に噛みついた。俺が尻をキュッと閉めるとあいつからくぐもった声が漏れたが、あいつに同時にいい場所を突き上げられて俺の体が跳ねた。反撃と言わんばかりに腰に爪を突き立ててやると、あいつは痛みでその赤みの差す顔をしかめた。
獣同士の戦い。互いの食らいあい。抱いて抱かれながら、俺とあいつの心に消えない傷を、体に一生残る刻印をつけあう。
ガツン、と腰骨がぶつかりあう。でも今夜勝つのはお前じゃない。……俺だ。あいつの腕の中からするりと抜け出て、腰を浮かせた。
あんたも俺でイッちまえ……!
俺は宥めるように自分の棒を軽く叩くと、あいつに最後の一撃を加えるために両足に力を籠めた。
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