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そして、央司さんは、次に私を見てきた。
「婚約してたのに、裏切って本当にすみませんでした。
簡単に赦してもらえるとは思ってませんけど、これからは水野のために頑張ることで、謝罪の気持ちにさせてください。
どうしても無理なら仕方ないですけど、これからは、僕と勝大とも行き来をしてもらえたら……義姉さん」
彼の口から出た、ねえさん、という言葉に驚いた。
婚約破棄の時、央司さんは私を名前で呼んできた。きっと復縁を諦めていなかったのだろう。
央司さんの過ちは、簡単に赦せるような行動ではない。でも、英彦さんの弟ということは、無関係な男性にはならない。
水野珈琲が変わっていくように、私と央司さんの立場も変わった。
すぐには割り切れないけれど、少しずつ関係を修復していく時期になったのだろう。
「……分かりました。私も甥は可愛いですから、その父親とも少しずつ行き来をするようにします。
子供たちは喜ぶでしょうね。従兄ができるんですから」
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