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でも、央司さんはまったく表に出てこない。高桑社長に息子が二人いるのは知るけれど、情報がほとんどないので、どんな人か不安になる。
「嫌よ!
あたし、水野のために働きたいから大学の専攻決めたのに、どうして会ったこともない人と結婚しないとならないのよ!
どっちでもいいって言うなら、お姉さまが高桑の長男と結婚すればいいでしょ」
やっぱり美那はわがままな子供だと思う。もし、私が英彦さんに嫁いで、美那が社長になれたとしても、結婚相手は自由に選べないのに……
社長にはなりたい。でも、プライベートを犠牲にするのは嫌。
そんなわがままは、水野珈琲だけでなく、どの会社でも通用しない。嫌なら、自分で会社を作ればいいのに、と思う。
父も同じことを思ったようで、美那に厳しい声を向けた。
「何もかも好きにしたいなら、この家を出ていけばいい。自力で生きるなら、何をしても誰と結婚しても自由だ。
だが、水野の後継者になりたいなら、どちらも不可能だ。
佳織は、央司さんとの結婚を嫌と言ってないぞ。自分よりも水野珈琲を優先できるのが後継者だ。
大人しく英彦さんの妻になりなさい。彼は合理的な男性だが冷酷な性格ではない」
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