第一章 業務提携

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 冷たく突き放すような言葉に、さすがの美那もショックを受けたようで黙り込んだ。  沈黙を父は、自分の言ったことを認めたからだと思ったようで、少し表情を(やわ)らげた。  「近いうちに、向こうのご家族と顔合わせをする。  特に高桑夫妻には充分以上に礼儀を尽くしなさい。二人にとって義理の両親になることは忘れないように」  美那だけでない。私もショックを受けている。  近い将来、結婚しても、妹と濃密な関係が続くことに……  結婚すれば、相手の家族との付き合いが多くなるから、美那と接する時間は少なくなると期待する気持ちがあった。  でも、姉妹で兄弟に(とつ)ぐなら、今度は義理の姉妹という繋がりまで、美那とはできてしまう。  嫌だけれど結婚は断れない。水野を立て直すためには、高桑の力はどうしても必要だ。  「話はそれだけ?  終わりなら、行きたいところがあるから、もういいでしょ」
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