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少し長めの明るい茶色の髪が、光りに透けて黄金に見える。笑顔が可愛らしく、女性に守ってあげたいという思いを持たせるタイプだ。
着る服がゆったりとしたシャツのせいか、華奢に感じられて、余計に王子のように見える。
注意深く見ると、唇の右側から八重歯が覗いていた。歯列矯正をしていないと分かる。経営者の息子にしては少し珍しく感じた。
会社経営に関わる人間は、可愛らしさを必要としない。そして、人知れず唇を噛むことも多い。なので、歯並びを綺麗にしないと、噛み合わせの問題が出る。
私も美那も、永久歯が生えそろってから間もなく歯列矯正をした。あまりないけれど、外国の人と会う時、綺麗な歯並びは重要だ。相手も綺麗。
でも、央司さんは会社経営に関わる予定でなかったのかもしれない。
働く会社がグループの中心とは限らない。社長の子供でも、のんびり生きる権利はある。
兄の英彦さんは、とても優秀な人だから高桑の将来は安心だし。
その人が、水野珈琲の次期社長の夫になる。驚いたのは央司さんも同じはず。大丈夫、きっと仲良くなれる。
大恋愛である必要はない。お互いを尊重できる関係になれるなら。
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