第一章 業務提携

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 そして、母の実家は水野珈琲(コーヒー)にとって重要な顧客でもある。  取引先に渡す手土産はすべて水野の商品。そして、必ず注文してくるお中元やお歳暮の数を思うと、父が母に意見できないのも仕方ない。  「いや、申し訳ないと思ってる。会社のことを考えて交際しなかったのは分かってる。  それでも央司(おうじ)さんとは穏やかな結婚生活になると思ってる。それで我慢してくれないか」  父が私の交際について気にしていたとは思わなかった。会社のための結婚に不満を感じていないから、逆に申し訳ないと思ってしまう。  「本当に私は納得してます。  お会いしないと分かりませんけど、高桑さんの(おっしゃ)る方のようですから、それほど心配してないです」  私は検査をして、妊娠に問題がないといわれている。  なので、美那の結婚を後にしてもらえば、次の社長の件は解決する。  向こうの後継条件はきっと普通だろうから、英彦さんも分かってくれると思う。  美那に、社長職を渡すわけにはいかない。
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