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想像もしていなかった政略結婚を命じられてから、時間の流れは早かった。
半月後と言われていたのに、もう明日になった。
でも……父から言われた当日の夜は大変だった。思い出した私は溜息をついた。
***
「ママ、聞いて!
パパが勝手に結婚相手を決めてたの。しかも家を出れって。会社のために大学行ってるのに、ひどくない?」
夕食が終わってデザートが出されると同時に、美那が母に、父への不満を言いだしたので、私は秘かに溜息が出た。
どう考えても、ただのわがままだけれど、美那を甘やかす母が父に何を言うか怖かった。
「久敏さんがなんですって?」
早口で、しかも割れるような怒鳴り声だから、さすがの母も渋い表情で訊き返している。
「あたしに結婚して社長夫人になれって。
なんのために大学行ってるか分からないじゃない!」
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