第二章 波乱の顔合わせ

2/23
前へ
/400ページ
次へ
 想像もしていなかった政略結婚を命じられてから、時間の流れは早かった。  半月後と言われていたのに、もう明日になった。  でも……父から言われた当日の夜は大変だった。思い出した私は溜息をついた。  ***  「ママ、聞いて!  パパが勝手に結婚相手を決めてたの。しかも家を出れって。会社のために大学行ってるのに、ひどくない?」  夕食が終わってデザートが出されると同時に、美那(みな)が母に、父への不満を言いだしたので、私は秘かに溜息が出た。  どう考えても、ただのわがままだけれど、美那を甘やかす母が父に何を言うか怖かった。  「久敏(ひさとし)さんがなんですって?」  早口で、しかも割れるような怒鳴り声だから、さすがの母も渋い表情で()き返している。  「あたしに結婚して社長夫人になれって。  なんのために大学行ってるか分からないじゃない!」
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2263人が本棚に入れています
本棚に追加