2263人が本棚に入れています
本棚に追加
聞いた美那が茫然と母を見た。
「ママ……」
「貴方は可愛い娘です。でも、水野に生まれた以上、この家のために嫁ぐのは当然のこと。
向こうから望まれたなら光栄なことです」
結婚を取り消してほしくて母に言ったはずなのに、逆に命令された。
美那は涙目で母親を睨みつけると、そのまま立ち上がってダイニングを出ていった。
私は溜息をついた。
これでしばらく美那は、家族と会わないだろう。
家族の自室にはキッチン以外は揃っているので、食事を部屋に持ってくるように指示すれば、ダイニングに来る必要はない。
今までも何度か同じことをして、わがままを通している。
でも、今回は無駄な行動になるだろう。
母も政略結婚で水野に嫁いだから、親が、子供の配偶者を決めるのは当然と思っているからだ。
最初のコメントを投稿しよう!