第二章 波乱の顔合わせ

6/23
前へ
/400ページ
次へ
 聞いた美那が茫然と母を見た。  「ママ……」  「貴方は可愛い娘です。でも、水野に生まれた以上、この家のために(とつ)ぐのは当然のこと。  向こうから望まれたなら光栄なことです」  結婚を取り消してほしくて母に言ったはずなのに、逆に命令された。  美那は涙目で母親を(にら)みつけると、そのまま立ち上がってダイニングを出ていった。  私は溜息をついた。  これでしばらく美那は、家族と会わないだろう。  家族の自室にはキッチン以外は揃っているので、食事を部屋に持ってくるように指示すれば、ダイニングに来る必要はない。  今までも何度か同じことをして、わがままを通している。  でも、今回は無駄な行動になるだろう。  母も政略結婚で水野に嫁いだから、親が、子供の配偶者を決めるのは当然と思っているからだ。
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2263人が本棚に入れています
本棚に追加