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「佳織」
突然、母から呼ばれたので、私は驚いてすぐに返事ができなかった。
「呼ばれたら、すぐに返事をしなさい」
「は、はい。申し訳ありません」
素直に謝る。母は反論を認めない人だし、今回はぼんやりしていた私が悪い。
すぐに謝ったので母は少し機嫌を直したようで、息をつきながら声を掛けてきた。
「この結婚に反対はないんですね」
頷いた。その日が来たという気持ちしかない。
「はい。高桑のご子息が水野に来ていただけるということですから、私には過ぎたお話と思います」
私の言葉に母も頷いた。
「そうですね……次男とはいえ、あの会社の人間ですから確かに驚きますね。
でも、決心ができているなら、私から言うことは何もないです」
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