第二章 波乱の顔合わせ

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 覚悟を認めてもらえたようで少し嬉しくなった私は、表面上は落ちついた表情で頷いた。  でも、母の言葉には続きがあった。  「……美那には可哀想なことをしましたけど、ノースランドの次期社長の妻なら、あの子に相応(ふさわ)しいでしょう。  そして、結婚したとしても、貴女が美那の姉というのは変わりませんから、今まで以上に思いやりを持って支えるように」  一度下を向いた。やっぱり母は美那が一番なのだ。  (とつ)いだら、夫の家に(したが)うのが当然といつも話すのに、それ以上に、妹への配慮を求めてくる。  でも、反論できない。  社長になるなら、このくらいのことを我慢できなくてどうする、という言葉を心の中で何度も繰り返した。  なんとか不満を(おさ)えつけた私は黙って頷いた。
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