第二章 波乱の顔合わせ

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 ***  「はじめまして、高桑央司(おうじ)です。  これからよろしくお願いします」  両家の親たちの挨拶が済んで、私は結婚相手となる央司さんから挨拶された。  初めて聞く彼の声は、写真で見たとおり優しそうだけれど、口調は控え目……積極性がないように感じられた。  優秀な兄に引け目を感じているようにも思える。あれだけすごい人と兄弟だと、嫉妬もできないかもしれない。  同じ下の子供でも、姉を追い落とせると考える美那とは大違い。  妹だから悪く思いたくないけれど、美那は、姉よりも優秀だと私を見下してくる時がある。  悔しいけれど、確かに私には美那を納得させるだけの実力はない。  大学も、隣り街の国立大学の経済学部の美那に対して、私は市内の私立大学の経営学部。  卒業生であることを誇りに思う大学だけれど、合格のための学力には差があるのも事実だ。
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