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私は、意図を探るよりも、この場を問題なく済ませることを選んだ。
テーブルから少し後ろに動くと、床に手をついて頭を下げた。ここは和室なので、そんな行動でも違和感がない。
「これからは高桑家の一員でもあります。
妹ともども、よろしくお願いします」
それから央司さんに視線を向けて笑みを浮かべた。
「不束者でございますけど、精一杯頑張らせていただきます」
何か言いたそうな美那とは違って、高桑のご両親や英彦さんは感心したような表情でホッとする。
彼らの家族を婿に迎えるのだ。さらに業務でも繋がっていく。良好な関係は絶対に必要だ。
高桑社長から感心したと分かる言葉が出た。
「さすが水野さんの後継者ですね。
ご両親には自慢のお嬢さんでは?」
母が一瞬当惑の表情になった。母にとって自慢の娘は美那。なので、姉娘の評価が高いのが意外らしい。
でも、一瞬で動揺の表情を消すのだから、さすがに社長夫人だ。
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