第十四章 二度目の業務提携

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 私と美那が、ほとんど姉妹の縁が切れたのとは違う。羨ましく見えた。  「兄さん……(ゆる)してくれるの?」  怖々と確認する央司(おうじ)さんに、英彦さんが溜息をついた。  「佳織とのことは今でも怒ってるさ。でも、美那さんの性格を思うとな……  それに、真剣に頑張るなら、応援したいと思うくらいには大事な弟だ」  兄と分かる言葉に、央司さんの瞳から涙が流れた。多分、私たちを裏切ってから初めて反省したのだと思う。  「ごめん、兄さん。本当にごめんなさい。  美那さんと会ってたのはマズかったけど、最後は赦してくれるだろうって考えてた。だから、あんなに怒るなんてって……でも、もう、そんなこと思わない。  僕、水野珈琲(コーヒー)に残る。あの子のためにも頑張らないと」  央司さんの声音には、息子への愛情が込められていた。  思わない経緯(いきさつ)でこの世に生まれた子供だけれど、央司さんにとっては大事な息子と分かる。  聞いた父や、お義父(とう)さまや英彦さんがホッとした表情に変わった。これで、勝大(まさひろ)くんが将来、水野珈琲に入社する可能性が残った。  特に父からは深い安堵の思いが伝わってきた。きっと、孫が将来社長となる未来を残したかったのだろう。気持ちは分かるので、そのことには触れなかった。
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