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「過ぎたお言葉ですわ。
この子は後継として努力してますから。
でも、美那は国立大学で経済学を学んでますから、絶対に高桑さんの助けになる娘になると思いますわ」
私を少し褒めるのは、美那がそれ以上だと言いたいから。
高桑家の人たちの前だから余計にこらえないとならないけれど、母から純粋に褒められる日は来ないのだろうと思う。
そう思うと、顔合わせが辛くなる……
室内に微妙な沈黙が落ちた。テーブルの後ろに下がったままの私をちらりと見て、英彦さんが言葉を掛けてきた。
「うちの庭をご覧になりませんか。今はリンドウが綺麗なんです。
……央司は佳織さんとゆっくり話したいでしょうし、私も美那さんと少し話したいですから」
空気を読んだ発言に、高桑のご両親がホッとしたように賛成してきた。
「リンドウだけでなくて、コスモスやシュウメイギクも綺麗なんです。
佳織さんや美那さんに見ていただきたいわ。
息子たちに案内させますから」
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