第二章 波乱の顔合わせ

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 母とは違って、高桑のお母さまは、あまりお嬢さまという感じではない。  高桑グループは、彼女が(とつ)いでから創業しているので、一般の家の出身でも当然だ。  それでも、顔合わせを無事に済ませたいと思うから、提案はありがたい。  英彦さんは美那に手を差し伸べている。妹も内心はともかく、表面上は素直に手を取られている。  央司(おうじ)さんも、隣りに来て立たせてくれた。  「母の自慢の庭なんです。  ……佳織さんは花は好きでしょうか」  引っ込み思案にも感じられる央司さんは、未来の夫というより弟という感じだ。  でも、彼は私よりも一歳上。  頼りない雰囲気は少し心配だけれど、婿入りしてから経営に余計な口出しをされるよりも、ずっといいと思い直した。
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