第二章 波乱の顔合わせ

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 ***  「すごいですね。リンドウの群落って初めて見ました」  英彦さんが花の名前を出すわけだと思った。  フラワーショップで花束になっているのは見たことがあるけれど、群落で咲くところは初めて見た。  「そうですね。なかなか個人の住宅ではないかもしれないですね。  母の実家には広い庭があって、季節の花が綺麗なんです。だから、この庭を見た時、花を植えたいと思ったって言ってましたね。  今、気づいたんですけど、佳織さんの着物の色はリンドウの花と同じですね」  「あ、ありがとうございます」  照れてしまう。今日のためにあつらえた振袖で、()めてもらえると嬉しいけれど赤くなってしまう。  濃い青地に、白に近い黄色の花が(あか)りのように光って見える。周りが小さな花に覆われていて、天の川に見えるところも好きだ。  (そで)の模様は、下半分が華やかで見た目も綺麗だし、それだと、将来、留め袖にしても大丈夫そうだと選んだ。
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